戦国島津をもっと深く・もっと楽しく

しまづくめ

花見酒

島津義弘没後400年企画「ドリフターズ原画展 in 姶良」レポート

島津豊久を主人公として、昨今の戦国島津人気の火付け役とも言える漫画「ドリフターズ」(ⓒ平野耕太/少年画報社)。その原画展が、戦国島津ゆかりの地・鹿児島県姶良市で開催され(前期2019年11月30日、後期12月7~8日)、3日間で県内外から延べ約4000名のファンが訪れました。

前期会場の様子


しまづくめが企画、島津義弘没後400年事業の一環として開催された本展。ドリフターズだけでなく、「薩英同盟」をテーマに平野先生のもう一つの代表作・ヘルシングも加え総点数130を超える平野先生の迫力の原画が展示されました。

会場入口は豊久の復元甲冑がお出迎え

原画は全て撮影可で展示

ドリフターズやヘルシングが表紙を飾ったヤングキングアワーズ本誌も展示



「ドリフターズ原画展in姶良」は原画だけでなく、作品世界をより楽しむための企画展示が大きな見どころとなりました。

【 史実解説 】
平野先生の深い知識に裏打ちされた歴史上の人物が活躍するのがドリフターズの大きな魅力ですが、では実際に史実ではどうだったのか。それを2つのアプローチから探る展示が行われました。
一つは「鹿児島ゆかりの人物」として、島津豊久・菅野直・山口多聞の3人をピックアップ。来歴や逸話、鹿児島との意外な繋がりについて作中描写と絡めながら、研究者による解説が展示されました。もう一つは「島津(薩摩)兵の実像」。作中で度々強調され、歴史ファンの中でもいまや共通認識となっている「島津の狂奔」。中世島津氏研究の第一人者である新名一仁氏がその実態・本質に迫りました。

史実と作中の共通点・違いが浮き彫りに

昨今「バーサーカー」のイメージがついている薩摩兵の実像とは…


【 画技解説 】
見る者を圧倒する独特な描画───平野作品の大きな魅力の一つを、アニメライター・前田久氏が解説。「<技法>から読み解く平野耕太の世界」と題した解説が展示されました。

3つの視点からその技法を解説


【 コラボ作品 】
ドリフターズの魅力を異ジャンルのクリエイターが表現した、原画展オリジナル企画作品も展示されました。

■ ジオラマフィギュア
「情景師アラーキー」こと、ジオラマ作家・荒木智氏と、リアルかつストーリー性のある表現に定評のある原型師・林浩己氏。トップクリエイター2人の共演によるジオラマフィギュア。

角度によって”表情”が変わるリアルジオラマ

■ 薩摩切子
ガラス作家・頌峰(しょうほう)氏が、ドリフターズの世界観や豊久とモチーフに掘り描いた薩摩切子。

今春 受注販売を予定



都市部ではなくローカル会場での開催となった本展ですが、県内だけでなく県外…からも多くの来場があり、年齢層も10代から60代まで、ドリフターズアニメ化から平野作品を知った人もいれば、ヘルシングより前の初期作からのファンもいるなど、改めて平野先生のファン層の幅広さが分かるイベントとなりました。

ボードに書き込まれた来場者メッセージ(一部)なんと海外からの猛者も




2020年は島津豊久の生誕450年ということもあり、ゆかりの地での新たな原画展も計画されているようです。ドリフターズに限らず、島津や歴史を好きになる入口として、漫画やゲームなどのメディア作品の存在感は年々高まっています。その流れで関連する地域・自治体とのコラボレーションも増加し、双方にとって好ましい時代になりつつあります。ですが、そうした流れであるからこそ、ファンの目線はよりシビアになり、ブームや人気に”ただ乗り”しただけの企画は見透かされることになるでしょう。
「ファンの目線を第一に、ファンが喜ぶことを意識」し、「企画側も作品をよく理解し、地元に根付かせる」。当たり前のことではありますが、しまづくめでは今後もそれを強く意識して、企画に取り組んでいければと思っています。

平野先生、少年画報社様。企画展示にご協力頂いた研究者やクリエイターの皆様。運営に携わった姶良市ほか関係各所の皆様。そしてご来場頂いたファンの皆様に深く感謝申し上げます。

「ドリフターズ原画展in姶良」企画運営責任者 しまづくめ代表 酒匂大樹
WRITER 花見酒

島津義弘のお膝元、姶良市加治木出身・在住。「戦国島津をもっと盛り上げたい!」をテーマになんだか色々やってます。

関連記事

You cannot copy content of this page